僕には友達がいました。
友達はちょっとおかしな人で、ズタボロのスニーカーを履き、咥えた煙草はびしょ濡れになっていました。けれど、それでいて浮いてるわけでもなく、実に不思議な人間だったのです。
そんな友達について、色々と思い返してみようと思います。
出会いは大学一年の春。変な奴だと、下に見ていたと思います。
当時の僕は、自分が真っ当に生きられる人間だと信じていましたが、それと同時に、ろくでもなくて仕方のない人間であるという予感もしていました。どちらの人間として生きていくべきか、決めあぐねていた頃でした。
そんな僕を決断に至らせたのが、友達なのでした。友達は本当に異常であり、さらにその姿を堂々と僕らの前に晒すのです。もしかするとこの人は、僕のありのままの姿を笑わないのではないか、と直感しました。
それから僕はすぐに、友達に夢を持ちかけました。
僕に見えている景色と、同じ景色を見てくれると信じていたのです。
素敵な時間でした。周りなんて見えていませんでした。夕日が沈んでいくのを眺めるように、あっという間に、そしてひたすらに駆け抜けていきました。
あの頃、僕が見ていた夢とは、蓋を開けてみれば呪いなのでした。瞳を奪われたら最後、暴走する熱を抑える術はありませんでした。人を壊してしまうほどの危うい景色だったからこそ、僕は惹きつけられてしまったのです。
これは僕が友達にかけられた呪いです。だから、友達も道連れだと思いました。僕はもう悪魔と契約してしまったのだから、君は地獄の素晴らしい景色を僕に見せるのだと。僕にはない異常性を持った君を、振り回してやりたかったのです。歪な夢の形には、亀裂が走っていました。
それを続けていくということは、友達と友達ではいられなくなるということを意味していたと思います。僕にはそれができませんでした。
なにより、友達は僕の手に負えるような人間ではなかったのです。だからこそ大きすぎる夢を与えてくれましたし、僕は惹かれたのです。
夢は音を立てることもなく、ただ静寂の中に沈んでいきました。無理矢理に突き進んできた傷だらけの姿で、今もそこに眠っています。上手くはいかなかったけれど、それでも僕と友達で生み出してきた風景が、ずっとそこにあります。
君の人生は、上手くいけばいい。
これからも、友達のままです。
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