口いっぱいの不安

口の中いっぱいに、不安が膨張していって、破裂してしまいそうな錯覚を感じることがあります。

そうなってしまうのは大抵、目を瞑っているときです。

ベッドの上でも、電車の中でも。

舌の裏から滲み出てきて、風船のように膨らみ、あんぐりと口が開きます。

それでも、不安はじわじわと大きくなり続けます。

膨張するのは、不安だけではありません。

瞼の裏に映るさっきまでの風景が、一緒になって広がり始めるのです。

すぐ目の前にあったものが、僕から遠ざかっていくようなのです。

距離感は有耶無耶になって、僕の輪郭もぼやけていきます。

どこにいるか分からなくなって、存在も曖昧になってしまいました。

それで、僕の口腔内を不安が満たしていくのです。

目を開けば、そこに天井があって、あそこに扉があって、そして、僕がここにいるとわかって、安心するのです。

不安は煙のように消えてなくなって、空気が戻ってくるのです。

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